時折、速水くんが客席を気にするかのようにチラッと見る。
それは一度ではなく、何度もチラッと見てはすぐにプレイに戻る。
それに気づいた隼人は、はぁ…とわかりやすく溜息を吐いた。
「何?」
「ん、あの馬鹿に呆れただけ」
「どういう意味?」
「アイツ、まだまだ本気じゃないってことだろ」
「えっ…?」
「ホント、…ムカつく野郎だ」
隼人の呟きはまた湧き上がる歓声に掻き消されて。
体育館の中に、豪快にボールを叩きつける音が響き渡っていた。
本日2回目のダンクシュート。
もちろんそれを決めたのは速水くんで。
決め直後の彼の口角を上げた不敵な笑みに。
あたしの心臓はドキドキを超えてバクバクと暴れだす。
ふと、目が合ったような気がした。
あたしたちがいるのは、二階席の端っこのほう。
だけど、真っ直ぐ射抜くように向けられた彼の視線は。
あたしの姿を捉えている。
瞬間緩んだ笑みをすぐに挑戦的なものに戻して。
あたしを捕らえる。
――見てろよ?
彼の口が、そう動いたように見えた。

