「うわ、すっご……」
中に入れば、さらに増える人。
この人混みで酔ってしまいそうなほど、空気も薄いような気がした。
「どこ行く?」
「二階、あまり目立たないところでいい」
「そうだね」
はぐれないように可奈に手を引かれ、その前を楯になるように隼人が歩いている。
そのおかげか、ギューギューに潰されるような感じはしなかった。
「隼人が一緒でよかったかもね」
「うん、そうだね」
隼人の大きな背中を見ていう可奈に、コクリと頷く。
人混みにまぎれて見えないけど。
可奈の手を、きっと隼人ははぐれないようにと掴んでいるだろう。
二階席、隅のほうだけど三人で座れる席をどうにか確保できて。
また、あたしを挟んで左右に可奈と隼人が座った。
まだ、選手達は体育館には現われていなくて。
緊張感というよりも、ただ騒がしいだけの体育館の中は酷く蒸し暑くて。
じんわりと額に汗が滲んできた。
「すごい……」
中学生の時の試合とはまた違って、まるで何かのイベントみたい。
この高校のバスケ部は、この辺では有名な強豪校の一つで。
対戦相手とは長年のライバルなのだそうだ。

