だけど彼はそんな可愛くない態度のあたしを気にすることなく。
楽しそうにいろいろ話しかけてくれて。
少し悪戯っ子みたいな笑顔を見せてくれたことも。
砕けた話し方をしてくれたことも。
ちょっとだけ、自分が特別になったような気がして馬鹿みたいにドキドキしていた。
あんな感じで、朝見てたことがバレたのは予想外だったけど。
隼人みたいに弄られてる感に少しムッとして。
あんなふうに言うつもりなんてなかったんだけど。
『教室から…翔くんが来るのが見えたから』
自分の言った言葉を思い出して、急に恥ずかしくなっていく。
あの時、ふと思い出した速水くんと女の子の会話。
自然に呼んでいた名前。
あたしだって…と。
どさくさにまぎれて、翔くん…なんて呼んじゃった。
「ずいぶん仲良くなったみたいね」
「…そんなことないよ」
だって、まだまともに話せないもん。
あの後だって、結局恥ずかしくなって殆んど俯いたままだったし。
会話はいつも彼からふってくれて、あたしはそれに答えるだけ。
バスケの話なら、まだ少しは話せるけど。
「…秋山くんなら緊張しないんだけどな」
「ん?」
「ううん、なんでもない」
小さく首を振って、逸れてしまった話を元に戻す。

