ただ、純粋に聞いてみたかったんだ。
あたしの言葉に一瞬だけ大きく目を見開いたけれど。
すぐに優しい瞳を向けてくれて。
そうだな…、と少しだけ視線を上げたあと。
何かを思い出したかのように、フッと笑みを零した。
「はじめは、すごく綺麗な子だなって思った」
「やっぱり…顔ですか?」
秋山くんの答えに、少しガッカリして。
だけど、やっぱりな…って思う自分もいる。
「はじめのキッカケは、そうだったかもしれない。でも、同じクラスになって少しずつだけど、神崎さんのこと知っていくうちに惹かれていったんだ」
ありきたりな答え。
無意識に何かを期待していたのか、その答えに正直残念だった。
そう思ったら、自然と下がってしまう視線。
その視線の先、グッと握られている秋山くんの拳が映った。
その拳から緊張感が伝わってくる。
平然としているようで、こんなにも手に力が入ってしまうほど緊張しているのだろうか。
少し視線を上げると、またフッと笑った秋山くんとまた目が合った。

