友だちと、好きな女。
どっちをとる? って聞かれたら迷わず“友だち”と答える。
…なんて、そんなカッコいいこと言えないな。
友だちも、好きな女も、どっちも欲しい。
欲張りで、わがままで。
カッコわるい。
…ツライ、な。
片思いで、遠くから見てるだけなんてツライだけだと思ってた。
目が合うことも、話すことも出来なくて苦しいと思ってた。
だから、実際彼女に近づけて嬉しいはずなのに。
純粋には喜べなくて。
秋山はゆずに告白した。
櫻井はゆずの彼氏かもしれない。
俺はまだ、知り合ったばかりで友だちにすら昇格していないかもしれない。
部室までもう少しというところ。
背後から近づいてきた軽快な足音。
ポンと、肩を叩かれたところでゆっくりと振り返ると。
そこには爽やかな笑顔の秋山がいた。
「どうした? ボーっとして」
今日は、真っ直ぐ部活に来たんだな。なんて心の中で嫌味っぽく呟く。
「…別に」
あきらかに不機嫌な態度の俺を見て、秋山は苦笑いを浮かべていた。
何やってんだ、俺は。
こんなのただの八つ当たりなのに。
秋山と並んで再び歩き出す。
俺たちに、会話はなかった。

