モテ子☆モテ男の恋愛事情。



相手が誰かなんて言ってないのに。

その相手を勝手にゆずなんだと決め付けていた。


櫻井が、相手を思い出して優しくなんて笑うから。

その顔が、昨日櫻井を見つめていたときのゆずの顔に似てるから。


だから、そう思わざるを得ないじゃないか。


「櫻井から女の話聞くときが来るとはな…」

「ははっ、興味なかったろ?」

「あぁ、まったくな」


笑いながらそんな会話をしてるけど。

内心、穏やかじゃない。


「翔もあんまり聞かないよな」


モテるくせに、と意味深に笑う櫻井から。

不自然にならないように目を逸らした。


「……言えるかよ」


俯いたままかすかに放った俺の言葉はきっと、櫻井には届いていないだろう。

本当は昨日、おまえに相談しに行ったんだよ。

フッと自嘲の笑みを漏らしながら、肩にカバンをかけた。


「じゃあ、行くわ」

「おう、じゃあな」


櫻井と別れて部活へ向うために教室を出て行く。

すれ違う友だちや、女子生徒と軽くあいさつを交わしながら。

いつものように笑顔を貼り付けて。


教室から少し離れたところで、フッと息を吐き出して歩みを止めた。