ひたすら妄想に走り出す愛美をほっといて。
未だに何やら言い合いをしてる可奈と隼人に溜息を吐く。
校庭から聞こえてくる賑やかな声につられるように視線を落とせば。
速水くんと秋山くんが、今まさにバスケを始めるところだった。
「翔くん、頑張ってーっ!」
女の子の声援が屋上にまで届いてくる。
あのギャラリーの中には、秋山くんや隼人、他のメンバーののファンの子もいるだろうけど。
ほとんどは速水くん目当てなのは、ここから見ていたらよくわかる。
彼が何かアクションを起こすたびに上がる歓声が、何よりも大きく響いていたから。
「隼人、行かなくていいの?」
隼人に話しかけたことで、言い合いは一時中断。
あたしの隣に移動してきた隼人は、ゆっくりと隣に腰を下ろして。
あたしと同じように視線を校庭へと向けた。
「今日は見学」
カシャン、と音を立ててフェンスに寄り掛かる隼人。
「珍しいね」
「まあ、たまには…な」
いつもと違って、少し歯切れの悪い言い方。
口角を上げてニヤリと嫌味が笑顔を作っているのはいつものことなのに。
どこか違う雰囲気を醸し出している。

