「ごめんなさい。あたし、好きな人としか付き合えません。秋山くんのこともよく知らないし、秋山くんもあたしのことよく知らないよね?」
秋山くんがいいかげんな気持ちで告白してきたとは思わないけど。
でも、どうしてあたしを好きになってくれたのかわからない。
だって、あたしたちは同じクラスだってだけで。
特に仲が良かったわけでもない。
ゆっくりと秋山くんの目を見つめて、少し困ったように笑うと。
「うん、そうだよね」
わかってた、と少し視線を下げて儚く笑う彼がとても印象的でそんな彼を見つめていた。
「でも――」
不意に上げられた視線に、射抜かれる。
メガネの下。
真っ直ぐで真剣だったその瞳が、一瞬で優しくなって。
「まだチャンスはあるよね?」
ニコリ、柔らかな笑みで見つめられた。
「友だちから。俺のことを知って欲しいし、神崎さんのことも知りたいから。
友だちになってもらえませんか?」

