―Side ゆず―


…寝不足だ。


昨日はなんだか興奮していて眠れなかった。


『ゆず』


あたしの名前を呼ぶ彼の優しい声が、今もまだ耳に残っているような気がして。

自分の名前なのに、なんだか恥ずかしかった。


あの時、バスケに戻る隼人に『翔の話し相手になってやって』なんて言われたときはどうしようかと思った。

あの時、あたしがどれだけドキドキしていたかなんて隼人は全然気にすることなく。

楽しそうにバスケしちゃって。


だけど、そのおかげで少しだけ彼と仲良くなれたような気がする。


別に、仲良くなりたかったわけじゃない。

でも、速水くんのバスケをしている姿を見るのは好きだった。

だから、欲を言ってしまえば。

昨日、彼にも参加して欲しかった。


なんて、そんなことは言えなかったけど。



『バスケ仲間、俺も入れてよ』


これからよろしく。って笑ってくれた速水くんの顔を思い出すと。

思わず口許が緩んでしまう自分がいた。