「よかった」


少し視線を下げた秋山くんはフッと笑いながら、そう呟く。

その笑みに不覚にもドキッとしてあたしも慌てて俯いた。


ジャリ、と砂を蹴る音。

少しだけ縮まったあたしたちの距離。


「無謀だってわかってるんだ。だけど、ちゃんと気持ちを伝えたくて」


声がさっきよりも近くに感じて、俯いていた顔をゆっくりと上げると。

すぐ目の前で、真っ直ぐにあたしを見つめた秋山くんと目が合ってしまう。


あたしを真っ直ぐに捕らえて、決して逸らすことのない真剣な眼差し。


「神崎さんが、好きです。だから僕と付き合ってください」


真っ直ぐでストレートな告白は秋山くんらしくて。

その気持ちがダイレクトに胸に響く。

あたしに向かって頭を下げて、右手を差し出す。


きっと同じクラスじゃなかったら、少しは疑っていたかもしれない。

真面目そうに見えて…なんて人も少なくはないから。


だけど、秋山くんの真面目な性格も誰にでも優しく接しているところも。

勉強も部活も、いつでも一生懸命なところも、あたしは知ってる。

誰からも慕われてる彼を教室の中で見てきたのだから。


だから。

あたしもちゃんと、真っ直ぐにその気持ちに答えなくちゃいけない。