みんなが、わいわいしてるときふと先生と目が合った。

「ん?」
満面の笑みでえくぼが出て言うから顔が赤くなるのが自分でわかった。

「いいえ」

先生に憧れを抱いた女の子はたくさんできただろう。


あたしもそのひとりだ。


そして、あたしが先生に憧れではなく、恋してしまった事件が起こった。

それは季節が春から夏に変わりそうな5月の下旬。

その日は朝からいい天気で占いも1位だった。体育は体育祭の練習。でもあたしは体調が悪くなりひとり教室の後ろの席に座ってグラウンドを見ながら暇していた。

そのとき、
ガラッ

ドアが開いた音がして後ろを向くと坂口先生がいた。


「なーにしてんだ?サボりか?」

「ちっがーうもん!体調悪いのー!」

「そうかそうか、大丈夫か?」

先生はあたしの前の席に座ってあたしの方に体を向けて話しかけてきた。

もう、ふたりだけの教室。ふたりだけの空間。春のぽかぽか陽気の体温で優しい日差しが教室に射している。それだけでドキドキだ。

「だ、大丈夫」

「うーん、熱はないみたいだなあ」

先生はあたしのおでこに手を当ててそんなこと言うから心臓が忙しくなった。


「先生?」

「ん?」

「先生って、彼女いるの?」

「いたらどうするの?」

「美人さんなんだろうなあって思う」

「いないよ、いま忙しいしね」

髪をたまに触る仕草が可愛くて。

いつもより近い距離で見る先生がかっこよすぎて。

あー。この胸の痛み知ってる。

あーあーやっちまった。



憧れ超えてスキの気持ちなんだ。






「スキ」


「スキだよ先生」


「は?」

「は?」

え、いまあたしなに言った?


「おじさんをからかうなよ〜?」

「からかってないよ」

「お前、先生なんだぞ?犯罪者にするなよ」

「えー。ほら、5つしか変わらないよあたしと先生。」

「5つもだよ。おじさんだぞ?」

「じゃあ、この気持ちだけは受け取ってよ」

「お前なあ「スキって気持ちは先生としてじゃなくて、男として受け取って」

「お願い。」


先生はさっきまでふざけて受け答えしていたのに真面目な顔になった。


「うん、わかった。ありがとな」

そういうと先生は立って教室から出て行ってしまった。