「てかさ、お前1年の間で有名人なんだぜ?てっきり、超自信家で華のあるやつなんだと思ってたのにさ……。」


残念そうな顔で彼はこちらを見てきた。会って早々失礼すぎないかな?さすがに、ここまで言われると怒りたくなる。

「神田君はヴァイオリン上手い人がみんな自信家だと思ってるの?」

「そうだよ。だいたい演奏家ってのは、自信家で自分の演奏に酔ってる奴しかなれねぇんだよ。」

急に悲しげな目で見つめてきた。どこか遠い目で……

「で、お前のヴァイオリンまだ聞いてねぇんだけど?……聞かせてくんねぇの?」


「え?」


「人が弾いてんの勝手に聴いといて、お前は聴かせないとかいいと思ってんの?お前の実力見せてみろよ。」

挑発的な瞳で見つめ続ける彼に唖然とする私。
というか、ここは街中だ。こんなところのどこでヴァイオリンを弾けというのか。


「ステージは……そうだな…海岸沿いの広場でいいんじゃないか?ここから、そう遠くもないしな。」


「わかったよ。曲はなんでもいいんだよね?」


「お前の1番得意で自信のある曲ならなんでもいいさ。」