「ごめんっ!結構待った?」

「んやー大丈夫」




日が落ちきる前、
やっと文化祭実行委員の仕事が終わった美結が
靴箱にきた。


文化祭の準備が始まってからずっと
バタバタしていたので心配だったが
今日今の表情を見た明日香は安堵した。

美結は
すっかり疲れていたが
どこかやりきった感のある爽やかさがあった。




「でもどうしたの?
いつもの明日香なら待つ嫌だから先帰るっていうのに…
あれ?懍ちゃんは?」





くつを履きながら美結は
髪を耳にかけた。

やっぱり
白い肌に爽やかな笑顔はよく合う。

明日香は
同じ性別でありながらも彼女に観とれていた。



美結の言葉がちゃんと彼女の頭の中に
入ってきたとき、
"ハッ!!"とした。

明日香は
完全に懍の存在を忘れていたことに
今さら気づいたのだ。





「…もしかして、また忘れてたの?」






苦笑気味で
美結が顔を傾けた。

明日香は返す言葉がなかった。



なんだかんだと
懍の一人行動が多いのは明日香のせいでもあるのだ。





「よし、じゃあ帰るか」

「あっ帰りながら話す?
それともどっかよる?」

「あーそーだなぁ、
近くのファミレス入ろーかっ」







まだ少し明るい外は
なんだか肌寒く感じる。

なかなかいい時間の割りに
こんなに明るいのはきっと夏が近づいている合図なのだろう。