「…」「…」
お互い口を開かずに
だいぶ時間がたった。
教室にいたクラスメイトも
垣内もいつの間にかいなくなった。
「…朝から来れなくてごめん」
最初に口を開いたのはソノだった。
明日香がさすがに
なにか言うべきだろうとモジモジしていたのに
気づいたのかもしれない。
「いや、潔癖症のこともあるし
来ないかと思ってたのを
最後の片付けだけでも来てくれて助かったよ、
ありがとう」
明日香の言葉を最後にまた
静かな教室が戻ってきた。
隣のクラスの声や廊下から足音が聞こえる。
雨が降ったあとは
葉っぱや建物がキラキラと反射してまぶしい。
教室は電気もつけていないため
かなり涼しい場所に思えてくる。
「…美結となにかあったの?」
次に口を開いたのは
明日香だった。
聞かれるだろうと思っていたので
ソノは特に驚いた様子も見せなかった。
「…明日香こそ、
垣内となんかあったのか?」
まさか自分のことを聞かれるとは
思ってもいなかったので
彼と違って彼女は驚いた。
それを見て
ソノはいじわるそうに笑った。
明日香もつられて笑った。


