「そのくん!」

教室に戻ると
自分の席で音楽を聴いているソノがいた。

美結は明日香に言われたように
少し遠いところから声をかけた。




ソノははっとして顔を上げた。

「…さっきはごめん。
ノートも結局任せちゃったし…」

「ううん、それはいいの。それより…」




美結は
ソノがいつもしている白い手袋を見た。

彼の胸ポケットには
殺菌とかかれた小さなスプレーが入っているのが見える。


よくよくみると
椅子に直接座らず座布団らしいものの上に
座っている。

背もたれにも布があって
直接物に触れないようにしてある。





「あっ!

そのくんって
もしかして潔癖性?」


椅子をガタッと音をたてた。

どうやら図星らしい。






「…」

「…そっかぁ。
だからみんなあまり触れないようにしてるんだね。
週番も一人なの、納得!」




彼女は一人で様々なことを例にあげては
納得していった。

ソノは申し訳ない気持ちより
喋り続ける彼女に対してあっけらかんとしてしまっていた。






少し離れたところから
垣内と明日香がまるで仏様のような顔して
見守っていた。

「…ねぇ、垣内」

「あ?」

「あの二人、面白いわね」




垣内は初めて女子が何かを企む表情を見た。

そして改めて思った。

女子怖い。






そのまた後ろで
懍が息を荒くしながら見守っていた。


それに気づいた垣内は
またまた改めて女子を恐怖に感じたのであった。