クラスにも慣れてきて友だちにも慣れてきた5月中旬。

あたしはきょうも特等席で授業を受けつつも外のどこかのクラスの体育をぼんやり見ていた。

あっ、あの先生知ってるや。
生活指導で怒られたひとである。
学校は高速が厳しいのだ。
その中でも夏とあたしは、群を抜くギャルだ。
夏は明るめの茶髪だし、あたしは金髪の中にピンクが混じっている。
メイクは濃すぎるくらい濃いし、机の上に教科書は乗っていなくてスケジュール帳とメイクポーチ、non-noとかviviとかのファッション雑誌だらけ。

それでも勉強は嫌いじゃない。
テスト前は必死に勉強するし、クラスの子たちとも仲がいい。
ただ自分らしく生きたかったんだ。
それに夏も付き合わせちゃってるけども。

「おーい!!おーい!」

ん?声が聞こえる。

窓から下を覗くと、体育着を着た1人の男子高校生がニコニコ笑いながら立っていた。


「棗 あずさ ちゃんだよね?」

その男は、満面の笑みであたしを見ながら言った。

「そうだよね?」

「そうだけど?だれ?」

「俺、2年B組の染谷 壱聖!よろしゅうな!!」

いっくんの第一印象は黒髪のゆるくパーマがかかった関西弁混じりの笑顔が似合う男だった。