美鈴はよくわからない地図の書かれたメモを逆さにしてみたり、真横にしてみたり、今いる場所と見くらべてみたりした。

とにかくまっすぐっていうことしかわからない。

レストランの名前はわかってるから、近くまで行けばなんとかなるかな。

中心街に向かってゆっくりと歩き始めた。

一艘の船が船着き場に着いたのが見える。

これが最後の便だろうな。

美鈴は時間的にそう思った。

数名がぱらぱらと船から町に降り立っていく。

皆どんな思いでこの町にたどりついたんだろう。

私みたいな気持ちで来た人もいるんだろうか。

最後にゆっくりと出てきた男性の服を見て、一瞬息を呑んだ。

あのシャツ。

アイボリーのシャツ。

私が拓海に選んだシャツと同じだ。

遠くてよく顔が見えない。

でも、でも?

まさか、まさかだよね?

美鈴の足は速まっていく、船着き場に向かって。