美鈴のバックの中に入った封筒を、時々確認する。

早く渡してしまいたかった。

ものすごく荷が重い事を引き受けてしまった。

水族館を後にして、近くのファミレスに入る。

「もつ鍋につれていかれるかと思ってヒヤヒヤしたわ。」

美鈴は笑った。

「学生は、基本ファミレスが丁度いいんだ。」

「そうだね。身分相応だよね。」

二人向かい合って、日替わりランチを頼んだ。

正面に座る拓海と目が合う。

いつものようにきれいな深い目をしていた。

以前よりも落ち着いて拓海を見れるのはどうしてだろう。

拓海が目を逸らさないってわかったから?

バックからハンカチを取り出す。

ハンカチと一緒に封筒が出てきた。

思わず、慌ててバックに戻した。

拓海はその様子をじっと見ていた。

小首を傾げて「大丈夫?」と聞いてきた。

「うん。」

「なんだか、今日はずっと変だよ。何か隠してることでもある?」

美鈴は黙っていた。

今言うべきなんだろうか。

窓からは燦々と太陽の光が降り注いでいた。

なんだか話すには、明るすぎる空間に美鈴はどうも落ち着かなかった。

「何?気になるよ。君も言っちゃった方がすっきりするんじゃない?」

まっすぐな拓海の瞳からはもう逃げられないと覚悟を決めた。