日常が、戻って来た。




「おはようございます、マオさま」

「ああ、腹が減った」

「用意は整っております」




エマと共に部屋に向かうとアドルフが当たり前のように迎えてくれる。
スマートに食事を用意してくれるとすっと下がった。



以前のような生活。
いや、以前とはそれぞれに想いは違うのだろう。


アドルフも、自分に課した使命に息を詰まらせることもなく。
エマも、すっかり表情のなかった以前のエマとは違う。



俺自身も。
自分の事をなにも知らず、ただ教えられた情報だけを持っていた頃の俺とは違う。



もう、俺は俺だ。
この身体も、この場所も。
全て俺だけのものだ。




「まっおーさま!」

「んぐっ」



食べている最中、後ろから思い切り飛び付かれ息を詰まらせる。
こんな登場の仕方は、一人しかいない。