「なぜならば、残したい魂を深く愛し、求める強い思いが必要だからだ。“魔王”を深く愛し求めるものなど、早々現れることはないだろう。だが、念のためここに記しておく。その方法とは・・・」
「深く愛し求める強い思い・・・?」
エマはなぞるようにそう言う。
「その方法とは、消滅の儀を順序通りに執り行った後、その身体が消滅する前に、深く愛し求める強い思いを持った者が口づけをすること」
「・・・えっ!?」
「注意点では、まず消滅させたい魂が覚醒した状態で行う事。必ず強い思いを持ち口づけをすること」
見る見るうちに顔を赤らめるのはエマだ。
「消滅の儀で、まずその身体を使っていた魂が消滅する。しかし、身体を使っていない一方の魂は魔王の身体の奥底で眠りについている状態である。それを愛する者の口づけにより呼び戻し空っぽになり消滅しかけている身体に定着させる・・・」
「じゃあ、もしまおーさまがここにいる状態でその儀式をすると・・・」
「ええ。残ったのは初代魔王の魂ということになりますね・・・」
「よかった・・・。じゃあ、これで結果オーライだったんじゃん!」
ルカが嬉しそうに声を上げる。
そうか・・・そうなるのか。
俺を心から愛するものなどいるはずがないからとあまり中身を気にして読んでいなかったな。


