愛しの魔王サマ



「意図的なのか、劣化によるものなのかはわからないが、背表紙に張り付いていたのだ。偶然剥がれて見つけた・・・」

「これは・・・」




アドルフがそれに目を通すと、驚いたように目を丸くした。





「なんて書いてんだ?」




興味を持ったルカが覗き込む。




「凶悪な魔王の魂だけを消滅させる方法・・・」

「え!?それって、俺たちが探してたやつじゃん!」





声を上げ身を乗り出すルカに、アドルフは顔を見合わせると、その本の文を読み上げ始めた。
そう。
そこに書いてあったのは・・・。




『封印を解かれた後の魔王は、記憶もなにもかも失われた状態で目覚める。しかし時が経つにつれ魔王としての凶悪な魂が呼び戻されてくるのだと分かった。


そのため、封印もしくはできるのなら消滅させることが望ましいが、その凶悪な魔王の魂だけを消し去る方法をここに記載しておく。

しかし、その方法はあまりにも無謀で、到底叶えられるものではないだろう。




なぜならば―――――――――――』