マオが、消えた。
起きてほしくなかったことが、起きてしまった。




「こんな抵抗をしたとして、もう身体は俺様のものだ。バカな奴。お前らを護るのだと、張り切っていたからなあ!」

「・・・っ、マオさま!マオさま!いやです!こんなの、あんまりだわ!」



エマが泣き叫ぶようにして言う。



「マオさま・・・。そんな、そんな・・・」

「まおーさま!うわあああああああ!!!!」





その現実に、アドルフもルカも打ちひしがれた。
間に合わなかった。
なにも、できなかった。



護りたかった。
助けたかった。
側に、いてほしかった。





「貴様らを護るため、覚悟を決めて俺様もろとも消える手はずを整えたのにな!貴様らがすべて無駄にしたのだ!俺様としては、実にありがたいことだったがなぁ!」

「黙れ!黙れ、黙れ!」

「極めつけは、護ろうと思っていたはずの貴様を傷付けたことで、心に隙ができた。簡単に乗っ取ることができたわ!」

「黙れって言ってるだろ・・・っ、ぁ・・・っ」




魔王の言葉に取り乱し叫んだルカは、くらっと立ちくらみがしてその場に倒れこむ。