愛しの魔王サマ




「・・・っ、まだだ。・・・もう、貴様も終わりだ。これで、すべてを終わらせてやる」



抵抗を見せる俺の中の魂。
必死に抑えつけた。


しかし、これでは俺が動くことは難しい。
エマの方からこちらに向かってきてもらわなければ・・・。




「マオさま!おやめください!やめっ・・・!」



アドルフが叫ぶ。





「すべてを、終わらせよう」




キィィィン
魔王の力、最後の力を込めエマの身体を動かす。




「や、や!マオさま!・・・いやです!」





抵抗するエマ。
だめだ、エマ。

言う事を聞け。
もう、残り少ない、この力・・・。




“おのれ、おのれぇぇぇ!!!”





エマの足がこちらに向かい進む。
次第に早足となり剣先を俺に向け。



ああ、でも、最後に見るのはエマの笑顔がよかった。




それだけは、心残りだ。





涙の溢れるエマの顔を見て、そう思った。