剣をエマの足元に放る。
カラカラと音を立て転がった。
「エマ、その剣を拾え」
「え・・・」
「ま、マオさま・・・、いったい、なにを・・・」
痛みに動くこともままならないアドルフ。
これも想定通りだ。
邪魔をされてはかなわん。
このまま、一気に終わらせる。
「拾え」
「い、いや、です・・・。なにをするおつもりですか?」
青ざめた顔を横に振る。
必死に抵抗を見せるエマだが、俺の魔王の力により体の自由を支配すると地面に転がる剣をゆっくりと拾い上げた。
「や、・・・勝手に・・・、嫌、やめ・・・」
「これからすることは、俺が勝手にすることだ。だから、お前が気に病むことは何一つない。だから、すべてを忘れ、生きろ」
こんな役目を課してしまう事、それだけは許してほしい。
でも、今になれば、エマ、お前の手で終わらせてもらえることがこんなにも満足している。
想いのこすことは、なにもない。


