穏やかな朝。




「おはようございます、マオさま」




少し頬を赤らめたエマが布団の中からそう言った。




「ああ」




俺はそう短く答えながら起き上りベッドから降りる。
窓から見える空は蒼く澄んでいる。




「エマ」

「はい・・・」




そう呼んで、振り向きざまに唇を重ねた。
柔らかな感触が、ふに、と触れ合う。
ピクッとエマの身体がかすかに震えた。




「好きな者とは、こうするのであろう?」





昨晩寝る前にチラリと読んだ小説にそう書いてあった。
悪戯に笑って見せると、エマは一層顔を赤らめる。




「そ、それは、マオさまも、私のことを・・・」

「腹が減った、朝食にするぞ」

「え、あ、はい・・・」




エマの問いかけにはわざと答えず遮るように話を切り替えた。