「アドルフ!アドルフはどこだ!」




俺は声を荒げながら廊下を大きな足音を立てながら歩いている。
それも、真っ裸で体に泡を残しながら。


俺が歩いてきた軌跡には、水や泡の道ができている。
そんなもの、今はどうでもよいのだ。



「アドルフ!」




勢いよく執務室の扉を開くと、目的の人物がそこにいた。





「なんですか、マオさま。そのようなお姿で、みっともない」

「うるさい!俺は、今日は泡ぶろの気分だと言っていただろう!」

「ええ。ですから、泡ぶろの用意をいたしました」



シレッとそう答えるアドルフに怒りは頂点に達する。
俺はズカズカとアドルフに向かっていくと肩についていた泡を鷲掴み、アドルフの顔に押し付けた。




「匂ってみろ!これはなんの香りだ」

「・・・ラベンダーですね」

「俺は、オレンジの香りがよかったんだ!柑橘系の気分だったのに!」




俺様の気分が一気に下がったあの瞬間の絶望的な感情を、お前はわかっていない!