「貴様に言う必要などない」

「はぁ?ふざけないでくれます!?俺のまおーさまを傷付ける奴はいくらアドルフだって許さないからね!」

「いい加減黙ったらどうですか」




アドルフは苛立ちながら人間をいなしていく。
マオに真実を知られてから、うまく接することが出来なくなってしまった。


それは、後ろめたさがあるからで。
それでも、マオを慕う気持ちは変わらずにあるというのに。



なんと言っていいのか。
もう許してもらえないかもしれないと、それだけが怖い。



本当に、マオの事を慕っているのだ。
今までのどの魔王とも違う、心の通ったマオの事を。



失くしたくない。
そう思えば思うほどに、失うことを怖れてしまう。



「俺にはいつも通り接してくれてるつもりなんだろうけどさ、やっぱ違うんだよなー。前のまおーさまとは、なんか落ち込んでるっていうか、暗いっていうか・・・」




ルカは相変わらずぶつぶつと呟きながら戦っている。