「だー!!もう、じれったい!!」



人間の襲撃現場で、ルカはそう叫んでいた。
殺すことはできない、だが、相手は本気で向かってくる。

簡単に追い返すことなど、到底難しい。




「まおーさまの命令がなかったら、こんな奴ら一瞬なのに!」

「そんな事を言ったところで、どうにもならないでしょう。さっさと動いてください!」



愚痴を吐くルカにアドルフはそう言うと向かってくる人間を払いのける。
攻撃をかわし、打撃を加える程度の抵抗しかできないが地道にやっていくしかないのだ。



人間は総勢20人程度で、大した数ではない。
だが相手は剣を持ち、本気で倒す気で向かってきている。

とてもやりにくい戦いだった。




「てかさ!まおーさまとなんかあったわけ!?」




向かってくる人間を足でひっかけながら、ルカがアドルフに問う。
なにがあったのかまではわからなかったが、様子がおかしいことはルカにもわかっていた。