その方法とは、魔王に及ばずとも同等近くの力を持つ純潔の魔物の血を魔剣に吸わせ、勇者の手により封印と同じく心の臓を貫くというもの。



魔王と同等近くの力を持つ純潔の魔物・・・。
いったいそれは、誰の事を指すのだろう。




これまで、封印するにとどまっていたのは、こういう事か。
魔王に匹敵する者の魔物の血まで吸わせるとなると、いくら魔物の血の流れたものとはいえ、一筋縄ではいかぬだろう。

現に、魔王一人相手にするだけでギリギリであったようだ。




その章の最後この本自体の最後のページには、『これまでにそれを成功させた勇者は一人もいない。ゆえに再び魔王はこの地に舞い戻ることだろう』と書かれ締めくくられていた。

だからこそ、この書物は存在するのだろう。
再び魔王が生まれる時のため、対策するべく研究を重ね、生みだしてきた魔王に対抗するためのもの。




それがなぜ、ここに在るのか・・・。



アドルフもまた、俺を封じたい・・・もし叶うのなら消滅させたいと思っているからなのか?
信じると、俺の側にいたいなどと言っておきながら。




グッと本を握りしめる。
もっていきようのない感情に力を込めると、本の背表紙の紙がびりっとやぶけた。




「しまった・・・」



慌ててそれを戻そうと撫でると、それは破けたわけではなくもともとページだったものが何かによって貼り付けられているみたいだった。