愛しの魔王サマ



「壁ではなく、本棚だったのか・・・」




気怠い身体をゆっくりと起こすと見上げたそこは本棚のようだった。
他の場所は隅々までなにがあるかを把握している俺だったが、この場所は逃げ込むだけの場所であり、俺自身苦手な場所だったためにこの中になにがあるのかよく見ることはなかった。

以前の魔王のものか?
俺にはあまり覚えのない本ばかりだ。




落ちてきた本の表紙に目をやると、“魔王討伐の調べ”と書かれてありドキッとする。
魔王討伐・・・?




「封印とやらの方法が、書かれているのか?」




そんなものがどうしてここに・・・。
まさか、アドルフか?


ここなら、俺に気づかれることはないと思ったのか?



それなら、読み通りだ。
これまで、ここの物を見て回ろうなどと思ったことはないからな。