愛しの魔王サマ



ああ、これまでか。
俺なりに必死に抵抗していけば、アドルフの手など借りずとも自分で何とかできると思っていた。


これまでの魔王とは違うのだと。
そんな者に、俺は負けないと。




馬鹿な話だ。




アドルフは、何度も、何度も、そう思いながらも結局は堕ちていく俺を見てきているのだ。
俺なんかよりも、現実を見ていたのだな。





くそ・・・・っ!!!






最後の抵抗に思い切り腕を動かすと壁にドカッとぶつかった。





・・・・ドカッ





「―――――っ、!!?!」





頭に強い衝撃を受け、その痛みに俺は正気に戻っていた。




な、なんだ!?





正直助かったが、まるで辞書のような重量が頭に・・・。