「おはようございます、マオさま」

「・・・」

「顔つきがすぐれないようですが」

「なぜか、お前がよくわかってるんじゃないのか」



朝食を食べるために向かった部屋で待っていたアドルフはニコニコと上機嫌で寄ってくる。
まったく、裏の見えないその笑顔に俺は一層眉間にしわを寄せた。



「なぜか・・・、エマの事でしょうか」

「わかっているならなぜ、よこした」

「なぜ?それは、エマがマオさま付きのメイドだからです。私も一日中マオさまの側にいられるほど暇ではないので。これから、今まで私のしてきたことは徐々にエマに任せていく予定です」

「な、なに!?これまでだってお前がしてきたんだ!それでいいだろ!」



冗談じゃない!
声を荒げガタガタッと音を鳴らして立ち上がりアドルフを睨みつける。
アドルフは笑顔を絶やさず、動揺も見せず。



「お食事中ですよ、マオさま」

「――――っ」



諭すように言われた言葉に拳を強く握りしめ、大人しく椅子に座りなおした。
エマが朝食を運んできて俺の前に並べた。