「あの、マオさま・・・」

「・・・」




躊躇いながら話しかけてくるアドルフの言葉を無視し、通り過ぎる。
結局、アドルフとどう接するべきなのか考えあぐねている。


アドルフの言葉が今までの俺のすべてだった。
アドルフの言葉を信じてこれまでやってきたというのに。



アドルフは、一番大事な俺自身の事をずっと隠して騙してきていたのだ。
それがたとえ、俺のためだとしても。



初めて、本当に付き従いたいと思った――――。
そう言われても、正直あの話をきいた後では、嬉しいと思えるはずもなく。



それでも結局は、俺を封印するためのものを、俺への贈り物として連れてきたアドルフの事が信じられないのだ。
言っていることと行動が矛盾しているように、俺には思えてならなかった。




そんな思いばかりがグルグルと旋回し、アドルフと普通に接することができないまま。





このままでは、ダメだとわかってはいるが・・・。