「マオさま、私は、マオさまが初代魔王の心に負けるとは思いません!マオさまは、本当に素晴らしいお方です!私は、マオさまをお慕いしています!それだけは事実です!」

「皆、知っているのか・・・?」




アドルフの言葉には答えず、疑問を投げかける。
なにも考えられない。
どう答えていいのか、どう考えていいのか。


唐突すぎて、困惑が隠せない。


「チチ・トト、それからルカも、生まれたのはマオさまが封印されている間の事。おそらく、知っていても噂程度にしか知らぬかと・・・。発作の事は、他の者にも隠してきましたから」

「・・・そうか」

「・・・エマには、一度、発作の場に居合わせていたので、すべてではないですが時折ああして発作を起こされるという事だけは話しました」

「エマ・・・?」





そう言われ、ふと思い出したことがあった。
記憶があいまいになって目が覚めた俺の目に、エマの腕に巻かれた包帯が見えたこと。
追及しても、エマに曖昧に返されたこと。



あれは、俺のせいだったというのか・・・。
ああ、俺が・・・。





「あいつを、返して正解だったな・・・」




これ以上、巻き込む前でよかった。
だが、ふと思う。


アドルフは、なぜそんないつ発作が起こるやもしれん俺のもとに人間などを送り込んだ?