「ですが、・・・そんな私の安心感とは裏腹に、あの日は訪れたのです。マオさまの発作が初めて起こったのは、目覚めて2年半ほどたった頃でした」



アドルフから聞かされた、真実に俺は言葉を失う。




「何度も封じられその力にも耐性ができていたのか、それとも、数千年に及ぶ封印の間に力を溜めていたのか・・・。これまでよりもずいぶん早い現れでした」




発作・・・。
そう言われ、胸がざわつく。
それが、先ほどの状態か・・・。



「・・・あの中身はなんなのだ」

「催眠作用のある注射を・・・。発作が起きるたびにマオさまに施しておりました」

「記憶が時折とんだ気になっていたのは、そういうことか・・・」



ギリッと奥歯を噛みしめた。
アドルフがずっと隠していたこと。
ずっと、俺を苛立たせていたこと。


そのそもそもの原因は、自分にあった。
そのことだけでも、俺にとっては絶望と呼べるものだった。