その中に、チチ・トト、そしてルカも含まれていた。
日に日ににぎやかになっていく魔王城に、私はただ戸惑いどうするべきか考えあぐねていた。


魔王さまの言うなりにしていいものかどうか。



なぜなら、これまでの魔王さまは例外なくいつかはあの冷酷非道な魔王さまに心を支配されてしまうのだから。




そして、これまでの魔王さまとはちがい、この魔王さまは、自分が“魔王”であることを誇っていた。
ことあるごとに、俺は魔王なのだ、と皆の前で言って聞かせた。


私は、そのことだけには少し不安になった。
魔王でいたいがため力を欲した前回の魔王さまは、心に秘める力を欲するがためにその身を落としてしまった。



それを繰り返したくはなかった。
だから私は、敢えて魔王さまと呼ぶのをやめたのです。


その想いも、あまり効果はなく、マオさまは、魔王であることを強く求めている様だった。



ですが、マオさまの魔王像というのはやはりこれまでとは違うように思えた。
力を誇示してきたこれまでの魔王とは違い、いつだって周りのことを思い、その心情に誰もがマオさまを本当に心から慕っていた。




きっと、これなら、マオさまなら、きっと大丈夫だと。
私は安心しきっていたのです。