初めて。
心からお仕えしたいと思えた。


これまでは、勝手に自分に課してきた義務のようにただ、魔王さまの側に付き従ってきた。
そう、ただ、義務として。



魔王さまと共に生まれ落ちた、自分にしかそれはできぬのだと、勝手に。



それでも、その時、初めて目の前にいるそのお方に、そのお方だからこそ付き従いたいと思ってしまったのです。





「・・・これが魔王城か。なんだ、殺風景なところだな」




これまでの魔王さまは、なにも覚えてはいらっしゃらなかったが、もともとの性質ゆえかあまり他の魔物たちを寄せ付けてこなかった。
だから、魔王城にはいつだって魔王さまと私のただ二人。



魔王さまのお目覚めのため、これまでと同様魔物たちを遠ざけ、完璧なまでの環境を整えた、はずだった。



「ですが、魔王さまは、こういった場所を好まれる傾向にありますので」

「・・・そんな覚えてもいない過去の俺の事など興味はない」





その言葉通り、魔王さまは時折城の外へ飛び出しては、まるで拾いものをするかのように魔物たちを拾っていった。
孤独で、阻害されているような魔物たちばかりを・・・。