これまで、コツコツと積み重ねてきたものが、簡単に崩れ去っていくのを感じる。
ああ、ああ、なんてことだ。
「魔王さま・・・」
「この世界は、俺様のものだ」
最後には、なにも知らなかった初めの魔王さまの姿は、消えていた。
元の、強欲で、横暴な魔王さまに戻っていた。
全てが無駄だったのだ。
再び始まった襲撃に怯える人間たち。
そして、あの時の勇者たちの末裔が再び立ち上がった。
繰り広げられた戦闘の末、ようように魔王さまを倒すことに成功した人間たち。
その時、すっかり消えてしまっていた目覚めた頃の魔王さまが目を覚ました。
「すまなかった・・・、俺の心が・・・弱いばかりに・・・、暴走する心に、敗けて・・・しまった・・・」
「魔王さま!」
「・・・どうか、・・・どうかこの次は・・・負けぬ心を・・・」
そう言って、魔王さまは再び封印されることとなった。
そこで気づいた。
凶暴なあの心に、負けなければよいのだと。
あの心に支配させない強い心を育てればよいのだと。
次こそは、失敗しない。
次こそは。
人間の封印も語り継がれていくうちに強度を増していったのか、次に魔王さまが目覚めたのは1000年ほどたってのことだった。


