愛しの魔王サマ




――この世界は、俺たちがこの手で守り抜く!




ボロボロになりながら目的を達成し人間界へ帰っていった者たちを見送り、私は考えた。
なんと人間とは勇敢で頼もしく、強い生き物なのだろう。


か弱く命も短く簡単に事切れてしまうだけの存在だと思っていた。
しかし、ただ怯え逃げ惑っていた魔物たちと違い、自分たちの世界をその手で護ろうと名乗りを上げ、それを見事に達成してみせた。




なんと、強いものたちだろうか。




私は、諦めていたというのに。
仕方がないのだと。


私には、どうすることもできないと。




なんと浅はかだっただろう。
大ばか者は、私ではないか。





あの人間たちの、なんと勇敢な事か。




私には、いったい何ができるであろうか。





それでも、ただ、私は初めに誓ったように、魔王さまの側にいる事しかできなかったのだ。