「この世界の王は、この俺だ!このおれに刃向うものはすべて薙ぎ払ってくれる」




力で支配する世界。
世界は混沌としていた。



恐怖に駆られ逃げ惑う魔物たち。
怖れをなし、刃向えない者ばかり。




「そうだ。そうだ。それでいい。恐れおののけ。この俺に頭を下げろ!」





魔王さまの横暴は、日を追うごとに増していった。





「側近さま、どうか、どうか・・・」

「もう、耐えられません。どうにか、魔王さまに考え直してもらえないだろうか」

「私に申されても困ります。私には何の権限も・・・」





たまっていく不満を側近である私にぶつけてくるものも多くいた。
そんな事は、私自身も思っていたことで。

それをできていたらこんな世界にはなっていなかっただろうと、心の中で毒づいた。





「まったく、なにが側近だ。魔王さまに意見も言えぬ側近など、ただの名ばかりではないか」

「この世界ももう終わった。こんな事ならこの世界に生まれねばよかった」

「いっそどこか遠く地の果てへ逃げてしまおうか」

「ああ、それがいい」