「なにを・・・!」

「この者は、この他に行くところのない娘。ここにいられないとなると、行くところと言えば冥土のみなのでございますよ」

「バカを言うな!お前はそれでいいのか!」



エマ自身にそう問うと、エマはその視線を俺にうつし真っ直ぐと見た。



「構いません。私は、主の命に従います」

「・・・は?」




ぐと力の込められたナイフ。
手首から赤い血がツーッと流れた。




「やめろ!」




駆け寄りナイフを掴み引きはがす。
ナイフを床に投げ落とすと斬りつけた手首を掴み上げた。




「側に置くのを許可する!アドルフ、手当てをしろ!」

「――――かしこまりました」




胸糞悪いが。
これこそが、アドルフの思うままになっている様で気分はいいものではない。


だが、主の命令だからと簡単に命を投げ捨てようとしたこの女を放っておくことができなかった。