その瞬間、俺の意志とは関係なく駆けつけたアドルフに向かって伸ばした手で、俺はアドルフの首を締め上げた。
「ぐっ、・・・ま、・・おさ・・・」
息苦しそうに顰められた顔。
俺は、なにをしている。
いう事を聞かないからだ。
まるで。
そう、まるで、誰かの意志が俺の身体を支配しているよう・・・。
「気を・・・確か、に・・・」
俺の腕を掴み力を込めながら、絶え絶えにそう言う。
アドルフは、俺の腕を掴んでいないもう一方の手で服のポケットの中を探ると、中から何かを取り出した。
「もう、・・・だいじょ・・・ぶ、です・・・」
そう言いながら俺の腕に取り出したそれを宛がう。
それは、なにかの液体が入った注射器だった。
なんだ、これは。
ドクン、
支配されそうな意識の中。
俺は必死で抵抗する。
勝手にされてたまるか。
これは、俺の身体だ。
俺だけの、ものだ。


