愛しの魔王サマ



「すみません、アドルフさま・・・私、」

「別に怒ってるわけではありません。どうせマオさまがわがままをおっしゃったんでしょう」




そう言うと、アドルフは視線を俺にうつす。




「人間がマオさまへ謁見を申し付けております」

「・・・人間がだと?」

「はい。それに、見たところ一人で乗り込んできたようで」


一人で・・・?
いったい、なにを申し入れるつもりだ。





「マオさまに判断を委ね、追い返そうかと思いまして」

「・・・いい。会おう」

「よろしいのですか」

「ああ。要望を聞いてみないとわからんからな」




そう言って立ち上がると着替えを始めた。