風呂から出て、脱衣場の中の鏡の前に立つ。 ポタポタと髪からは水が滴り、表情のすぐれない俺の姿を映し出す。 お前は、誰だ。 お前はいったいなんなんだ。 何度も、何度も繰り返してきた問い。 その度に、“俺は魔王だ” “この魔界を統べる王だ” そう思ってきた。 そう答えてきた。 でも、そう答えることも・・・。 「俺は、いったい誰なんだ・・・!」 ガン!! と、叩きつけた拳。 鏡はひび割れ叩きつけた手の側面からは血が流れる。 血。 血・・・。 ほしい。 俺は、これが、欲しい。