目覚ましをセットせずに寝たので時間ははっきりとわからないが、遮光カーテンの隙間から射し込む光で朝だと気づく。
「ん……」
気怠い体にむち打ち、枕元で充電中のスマホに手を伸ばしギョッとして動きも息も止める。
「な……!?」
私の隣には成瀬が寄り添って眠っていた。
やけにベッドが温かくて心地よいと思っていたが、まさかこいつが一緒に眠っていたなんて!
私の動揺など欠片も知らずに、成瀬はスヤスヤとそれはそれは心地よさげに眠っている。
長いまつげは魅力的で、子どものように無垢な寝顔。
しかし私は見惚れるところではない。一気にわなわなと怒りがわき上がり、思わず叫んだ。
「ちょっと成瀬! 床で寝ろって言ったでしょ! 何勝手にベッドに入り込んでるのよ!!」
大きな声に反応してゆっくりとまぶたを持ち上げた成瀬が、とろりとした眼差しに私を映した後、すぐに笑顔を浮かべた。
「おはようございます、先輩」
それは甘く蕩ける笑顔。柔らかな心地よい声音。
成瀬の整いつつも可愛さのある顔立ちと相まって、とても魅力的だった。
きっと乙女ならばドキドキしてしまう場面だろうが、私はムカムカしている。いや、怒りでドキドキしているかもしれない。
心拍数はかなり高まっている。