一寸の喪女にも五分の愛嬌を

「可愛げもなくて喪女で年上、どこがいいのかわからないけど、蓼食う虫なのね、成瀬は」

 諦め口調になる私に、成瀬は甘く笑う。

「何言ってんの、先輩。どこもかしこも可愛くて仕方ないけど? それに先輩の可愛さも良いところも、俺だけが知っているだけでいい。他の男になんて絶対にあげない。元彼さんはもちろん、早川さんにも」

「早川さん……」

 無理矢理にキスされたことを思い出して不快感が首を持ち上げる。

「あいつ……ヒールのかかとで踏んでやればよかった」

 ぼそりと呟けば、成瀬がぽんぽんと頭を優しく叩いた。

「先輩、早川さんだけど……あの人も今回の件に一枚噛んでいたんだ」

「え? ヘッドハントの件に?」

 一つ頷いてから成瀬は説明してくれた。


 元々、ヘッドハントの為に他の会社と繋がっていたのは早川さんだったらしい。しかし二年前に人事課から総務課に移動してから、その役目は稲田さんに引き継がれたらしい。

 当時、稲田さんと早川さんは付き合っていたらしく、稲田さんは彼と結婚したくてお金を貯めるために悪評を広めて安くヘッドハントするかわりに相手会社からの手数料を跳ね上げるようになったそうだ。

 ところが早川さんから別れを告げられた稲田さんは、色々と人脈や伝手を使い調べ上げたところ、彼が私を気に入っていることに気がつき、ターゲットを私に定め辞めさせようとしたと、そう洗いざらい吐いたらしい。