一寸の喪女にも五分の愛嬌を

 驚いて顔を上げた私は、最大限に目を開いて成瀬を見つめるだけ。

 しばし無音の時間が流れ、やがて私は震える唇を開いた。


「あ……」


「あ? 何?」

 小首を傾げた成瀬に、思い切り言ってしまった。

「呆れた! あ~、本当に呆れた! 結婚って……付き合ってもないのに結婚って!! あんたは中学生のドリーミング野郎ですか!? 『俺たち中二、マジ結婚。悪い奴はだいたい友達!』とかラップでも歌ってる中坊なのか!? 成人済みと思ってたけど、脳内は中二病に犯されてたの? ビックリするわ」

 ほら、こんな言い方をしてしまう。

 悪態にしても酷すぎる。可愛げなど全くない。

 いきなりこんなことを言って正気なの? と言いたかっただけなのに、どうしてこうまで完膚なき見事な悪態を吐いてしまうのか。

 ズドーンと落ち込んだ。

 それなのに成瀬はいきなり声を上げて笑い出した。

「あっははは、もう本当に先輩可愛い! なにそれ、ラップとか……どこから出てくるんですか! もう……あははは、腹痛いって、マジ勘弁して!」

 もうそれはそれは大爆笑。

 自分でも途中で何を言ってんだよ、と心中で突っ込んでただけに、かあああと顔が熱くなる。