一寸の喪女にも五分の愛嬌を

「あんた……マゾなのね。いえ、いいの。人の好みにとやかく言うつもりはないわ。そうね、理解しているつもりよ。でもごめんなさい。私はサディストにはなれないわ。まあ確かに言い方はキツいと思うけれど――」

「先輩」

「それでも人を従わせたいとかどうにかしたいとか――」

「先輩!」

「そんなことは思えないから、私には受け止めきれな――」

「だから先輩ストップ! 違うから!」

「え?」

 思わぬ大きな声で成瀬に止められ、私は口を閉じた。

 パチパチと瞬きを数度繰り返した私の上から成瀬はようやく身を起こし、ベッドの上に座る。私もつられて半身を起こした。

 向き合う二人の間には、適度な距離がある。

 その距離に安心するのに、なんだか体温が一気に冷えたような気持ちにもなる。

「俺、マゾじゃないですから」

「いえ、状況証拠から考えてあんたはマゾよ」

「いや、違います。何を言い切ってくれてるんですか」

 俺は、とすぐに成瀬は続けた。