一寸の喪女にも五分の愛嬌を


「先輩、さっきのはでまかせですよ。あの人を追い払おうとして言ったことですから」


 そう告げた成瀬が、そっと私の額から手を外す。


「……そ……そう、よね……」

 なんとか言葉を絞り出したけれど、グッと喉の奥が詰まる。


 泣きそうだ。


 現実を突きつけられて、胸がつぶれそうで心が痛い。

 勝手に舞い上がった喪女の惨めな末路がこれだ。


 私は全てをシャットアウトしたくて目を閉じたのに、痛みはどんどん強くなるばかり。

 恐る恐る開いた心の鍵は、やはり開くべきものではなかったのに、私はいい気になってしまった。

「って、も……ろん……ですよ」

 遠くの方で成瀬の声が聞こえたけれど、何かに遮られているのか、ひどく聞き取りづらい。

 目を閉じたまま身動きを止めている私を、成瀬は唐突に抱きしめたから、まるで覆い被さられたような体勢になる。

「ちょっ!」

 驚いて目を大きく見開いた私を見下ろし、成瀬はニヤリと笑った。