一寸の喪女にも五分の愛嬌を


(しばらく眠ろう)

 きっとまだ体が睡眠を欲している。

 精神的にもつかれきってしまっていた。

 蕩けていくように思考が乱れて切れ切れになり、意識はプツリと糸の切れた凧のように彼方へと消えていく。


 まだ日は高いのに、やがて私は眠りの湖に深く沈んでしまっていた。
 


 

 私を眠りから覚ましたのは、何度も響くインターフォンの音だった。

「うるさ……」

 会社から帰ってそのまま眠ってしまったから、皺だらけになってしまっているスカートとシャツに舌打ちし、起き上がる。

 その間にも何度も私を呼び出している。

「誰よ、もう……」

 チラリと時間をみれば、二十時を回っている。
 どうりでお腹が空いていた。

 扉に手をかけた時、私は……心の中で期待していた。


(もしかして……成瀬かも)


 期待というより確信だ。

 この部屋に訪れるのは宅配便を除けば成瀬しかいない。